ドライブレコーダー取り付け例

今回、皆様にお配りしておりますドライブレコーダー、ユピテル「DRY-TW9100d」は、前後2画面録画で、後方からの衝突も記録できるものとなっています。そのため、設置は前方録画のみのものと比較し、複雑となっております。

点検の時などに、業者に取り付けを依頼されるのが一番だと思いますが、理屈だけで言うと、アクセサリー電源(12V)に繋ぐだけの接続ですので、車いじりのレベルとしては、簡単なものです。ショートさせて、自動車が不動となるようなこともないでしょうし、DIYで取り付けされるのも良いと思います。

そこで今回、岡山県町村会でも、このドライブレコーダーを職員が取り付けてみました。その一部始終をご覧下さい。

取り付ける車種により、最適な取り付け方法は違うと思いますが、参考になれば幸いです。

 

1.取り付け機器確認

まずは箱の中に何があるか確認します。

箱を開けていきましょう。

大きな方がフロントカメラ、小さな方がリアカメラです。

取り付けブラケットは、梱包時は外れていますが、確認時に取り付けしておけば良いでしょう。取り付ける向きなどは、箱の写真や取扱説明書を参考にします。

こういう作業は部屋の中でやっておいた方が良いです。狭い車内でやるのは、失敗の元。

両面テープの片方も貼っておいた方がいいです。

電源ユニットの確認です。写真左側のケーブルは、車より電源をとるものです。

電源ユニット本体は、12Vを5Vに電圧を下げる装置です。

右側のケーブルは、電源をフロントカメラに供給するものです。電源だけなので細いです。

このケーブルがフロントカメラとリアカメラを繋ぐケーブルです。

フロントカメラからリアカメラに電源を供給し、リアカメラからフロントカメラに画像信号を送ります。

2種類の線が入っているので太いです。

電源に接続する部分のつくり。

15センチほどの分岐で、無駄な部分はありません。

小型のヒューズ、線の先の半田処理など、丁寧なつくりになっています。さすが老舗メーカーのユピテル。良いパーツ使っています。

 

このほか、箱の中には、両面テープ、取扱説明書、チラシ等が入っていました。写真は省略します。

 

2.車両の確認

次に車両の確認を行います。行き当たりばったりでは、作業に時間がかかるだけです。

配線のルート、どこに何を隠すか、どこで余ったケーブルを処理するかなど下見をします。

取り付ける車両はトヨタSAIです。

セダンタイプで、ハッチバックではないので、配線はやや簡単と思います。

今回電源は、アクセサリーソケット裏から取ることにします。ソケットは、センターコンソールの下側になります。

12Vの電源を取るには、アクセサリーソケット、カーオーディオ配線、ヒューズボックスなど色々方法があります。それぞれにメリット、デメリットがあります。

・アクセサリーソケット:回線がプラスとマイナスの2本しかなく一番分かりやすい。12Vしか取れない。

・カーオーディオ配線:電源以外にも様々な回線が集結している。(常時電源、イルミネーション電源など)コンソールパネルを外すのが大変。特にこの車は複雑。

・ヒューズボックス:ヒューズを差し替えるだけなので簡単。ややパーツが高価。

今時、「みんカラ」(https://minkara.carview.co.jp/)などで調べれば、電源取るのにどのような作業が必要か分かりますので、そちらも参考にして下さい。

 

今回は、SAIのアクセサリーソケットのパネルが外しやすいこと、12Vの電源だけが必要であることから、アクセサリーソケットから電源を取ります。

 

また、ソケットに差し込むタイプに電源ケーブルを加工する方法も考えられますが、それをすると、スマホ充電、マップランプ使用などソケット使用中の事故は記録されないという、間違った運用となりますので、ソケット裏から電源を取り、ソケットを占有しないようにします。

アクセサリーソケットのパネル。この小さな四角を外せば、電源の回線が出てくるという、有り難い仕様となっています。

電源を取ったあとは、助手席側のカーペット下を通して、取り付け位置にケーブルを這わせます。

カーペット下にするのは、助手席に座る人の足に干渉しないように。

運転席の足下に回さないのは、ペダル操作の邪魔にならないようにです。(取扱説明書の図には、運転席側に回線引っ張ってますが…。)

あとは、テレビのアンテナや、ナビのアンテナでよくやる方法で、配線をフロントウインドウへ。

ただし今回は、フロントカメラに行って終わりではありません。リアカメラへの回線もあります。

また、この車両は、サイドエアバッグがありますので、その邪魔にならないような配慮が必要です。

リアカメラは、ナビのバックモニターでよくやる方法で、後部座席へ。

ケーブル1本ぐらいなら、挟み込めば見えなくなる場所が多いので、(DIYのレベルならば)この辺の配線は楽です。

ここにもエアバッグがありますので、邪魔にならないところを通します。

下見で、どこにエアバッグがあるか、どこを通せば干渉しないか確認するのが大事です。

…今回の最難関(?)リアウインドウのオートサンシェード。これに当たらないところに、カメラを設置するのですが。

本当は見晴らしの良い、上の方に取り付けたいんだけど、難しそうです。でもできる限り上の方に。何度もテストするしかないでしょうね。

 

3.取り付け作業

まず、スカッフプレートを外すところから始めます。これを外さないと、他の内装にはアクセスできません。

これは上に引っ張れば取れるので「力尽くで」。怖いのは最初の1回だけです。

スカッフプレートを外せば、スカッフプレートが押さえていたカバーが外れ、そのカバーが押さえていた別のカバーが外れと、次々に内装が外れていきます。(もちろん力が必要ですが。)

下見したルートが見える(手が入る)ようになるまで、外していきます。

Aピラーを外します。ネットでの予習で、ここのパーツはストッパーが付いていて、ここまでしか外れないのは知っていたので、これで十分。

この隙間からエアバッグの収容状況が確認できます。どこを通せば影響ないか、一目瞭然でした。

さあ、早くも今回のクライマックス。電源を取ります。

ちょっとプロっぽく、マスキングテープで養生もしました。

ここで、マニアックな道具を。これは「内装はがし」といいます。

車の内装など、ネジを使わず、はめ込んでいる部分は、この道具で外せるように設計されています。内装を分解する際に四苦八苦されている方は、1本いかがでしょうか。カー用品店などで売っています。

木べら、竹べら、マイナスドライバーにマスキングテープを巻いたものでも代用できますけど。

使い方は、こんな感じ。

隙間を見つけて、内装はがしを差し込み、押し込むと、内装はがしはだんだん厚くなるので隙間が拡がります。ある程度押し込んだら、倒す。そうすれば、指をかける部分ができます。

後は例によって「力尽く」。

このパーツ。5本のピンでとまっていたようです。ソケット内側の配線が見えますね。ここから電源を取ります。

次に、電源ケーブルを、助手席の足下から、アクセサリーソケットのところに通します。ここも内装をはがせば良いのかもしれませんが、シートを外した方が良いくらいの大がかりなものになりそうなので、この「配線通し」を使って楽をします。

これは折り曲げ自由な針金でできているものです。

先っぽに安全なキャップ。最後尾には、ワッカがあります。

 

これも、針金のハンガーなどで代用できます。

使い方は見てのとおりです。

最後尾に通したいケーブルを取り付けます。

結んでも良いんですが、結び目が抵抗になって、狭いところが通過できない場合もあるので、テープを巻くのが良いと思います。

最近の自動車いじりは、マスキングテープがないと、何もできません。

引っ張れば、スルスルッと出てきます。

結線は、おなじみのエレクトロタップを使います。

2本の線をそれぞれ、このタップに挟むことで、真ん中の金具を介して繋ぐことができます。

本来なら電線を分岐するとき、一度切断して、枝を1本取り付け、Yの形にする必要があります。この作業を狭い車内でするのはかなり大変ですが、エレクトロタップを使えば、簡単にできます。

このような形で電源を確保しました。

これで、今回の作業の一番難しいところが終わりです。

プラスとマイナスを間違えないだけ。

ここで、電源がうまく取れているか確認をします。

ケーブルを各カメラに繋ぎます。

リアカメラにも繋ぎます。そして、ブレーキ踏まずに車のスイッチオン!

エンジンはかからず、アクセサリー電源が供給されます。

光ってますね。録画開始のチャイムも鳴りました。

この機種は、モニターがないので、どのような画像が撮れているかこの段階では分かりません。スマホアプリで見るか、撮れたものをマイクロSDカードからパソコンに移して見ることになります。

あとは配線とカメラの貼り付けだけです。

下見どおり、淡々と作業を続けます。

電源ユニットの箱の部分は、助手席の人が蹴らないような場所の狭い部分に挟み込んで固定します。

ケーブルはドアモールの隙間に入れ込みます。

ケーブルを奥に差し込むのにも内装はがしを使えば簡単。軽いし、ケーブルや他の部品を傷つけたりしません。

ここまでケーブルが来れば、一息付けます。

カメラ取り付け位置を意識して、どれだけ残すか調整します。余ったケーブルは足下で束ねた方が良いでしょう。

今度はもう1本のケーブルを戻すような形で下の方に。

このカメラケーブル、フロントカメラ側と、リアカメラ側、形状が違います。後で、向きを間違えて後悔しないよう、確認します。

フロントカメラ取り付け完了です。もう、作業は9割終わったような感じです。

このカメラの向き、上下方向へは後で微調整できますが、左右方向は固定なので、慎重に。

取り付け位置が不安な私は、マスキングテープで位置決めをして、いろんな方向から向きの確認をして、本番に臨みました。

 

こういう時、吸盤とかのカメラは便利だと思うのですが、実際事故したときに飛んでいったら何も記録できないので、こうしたしっかりした取り付けが良いんでしょう。

フロントカメラが取り付けできたら、Aピラー、助手席足下の内装、アクセサリーソケットのパネルは元に戻せます。

スカッフプレートの下には、他のケーブルを束ねたホルダーがありますので、これを使ってケーブルを固定します。

固定しておけば、スカッフプレートを戻す際に、誤ってケーブルを傷つけてしまうようなことはないでしょう。

Bピラーのカバーは外し方がよく分からなかったので、カバーの下からケーブルを押し込み、固定しました。

後部座席のスカッフプレートも外します。これもケーブルはホルダーを使って固定します。

ドアモールをめくるとケーブルが通りそうな隙間があります。そこにケーブルを通し、天井方向に引っ張ります。

Cピラーも力尽くで引っ張れば、写真のように開きます。

ケーブルをCピラーの上端から天井内を這わし、カメラ取り付け位置に垂らします。

ここで気になっていたオートサンシェードとの干渉ですが、やはり窓の上の方では、接触してしまいます。何カ所か試してみて、やはり窓の中央当たりまで取り付け位置を下げないと無理と判明しました。

リアカメラは結局この位置になりました。

ケーブルも最短距離を追求するのではなく、自然にだらんと垂らしました。やや堅めのケーブルなので、垂れ下がってくるようなことはなく、テープで固定するようなこともしていません。

これでリアカメラの取り付けも完了しました。

 

リアカメラの姿が真ん中に見えた方が、後ろを走行する人の運転が優しくなるかもしれません。

あとはスカッフプレートを元に戻し、カメラの向きの微調整等です。微調整はスマホアプリから、マニュアルどおりにお願いします。

 

これでドライブレコーダーの取り付けは完了です。お疲れ様でした。

 

4.まとめ

今回使った工具は以下のとおりです。

・内装はがし

・配線通し

・ラジオペンチ(エレクトロタップを挟む込むのに使用)   以上。

 

ほとんど、外して、通して、はめ込むだけの作業でした。

 

作業にかかった時間は…

下見に15分。作業に1時間半。(うち15分ほど撮影)動作チェック15分。合計2時間ほどです。

リアカメラの取り付け位置に迷わなければ、もう10分以上は早くできたでしょう。

 

5.最後に

取り付けは、無事に終わりましたが、大事なのはこれからです。ドライブレコーダーは自分の潔白を証明するために事故を記録するものです。

そこに自分の交通違反が記録されてしまっては元も子もありません。

皆様の交通安全をお祈りいたしますとともに、万が一の時はこのドライブレコーダーがトラブル解決の糸口になれば幸いです。

 

R2.5.13 岡山県町村会

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